輸入牛といえばアメリカ産とオーストラリア産を良く見かけるけど、どっちが美味しいの?
よく、こういう質問を受けます。
それぞれに、格付けランクがあり、同じようなランクで比べてみないと不公平ですので、まずはそれぞれの格付けランクによる品質の違いを見てみます。
日本の和牛や国産牛にA5~A1、B5~B1などのように格付けランクがあるように、アメリカ産、オーストラリア産もそれぞれ格付けランクがあります。
アメリカ産牛肉の格付けランクは
- 「プライム」
- 「チョイス」
- 「セレクト」
- 「スタンダード」
……とありますが、日本に入荷しているものはおそらく「プライム」と「チョイス」がほとんではないでしょうか?
「プライム」と「チョイス」では、肉質や霜降り度合いが「プライム」のほうが上で、最高の格付けになっています。
しかし「プライム」はアメリカ産牛肉の中で、3~5%くらいしか発生せず、日本への輸入量も限られています。ですから当然お値段も「チョイス」よりは高いです。
「プライム」ですと、付加価値をつけるために、必ず商品名に、「プライムビーフ」ですよ……という表示がされると思います。
ですから、アメリカ産牛肉で国内で出回っているものは、ほとんどが「チョイス」だと思っていいと思います。
アメリカ産の牛肉は基本的にトウモロコシなどの穀物飼育です。
オーストラリア産牛肉の格付けは
- グラスフェッド
- ショートグレイン
- ミドルグレイン
- ロンググレイン
……となります。
オーストラリア産牛肉の格付けは、飼育日数や飼料の種類でランク付けされます。
放牧させ牧草だけで育成させた牛が、グラスフェッド
トウモロコシなどの穀物を100~120日間与えた牛を、ショートグレイン
さらに長期間150~180日穀物を与えた牛を、ミドルグレイン
最大200日以上穀物を与えた牛を、ロンググレイン
……に分けて格付けされています。
牧草だけで育ったグラスフェッドは肉質が濃く、深い赤色で、肉質もかためです。
穀物で育てたショートグレインの牛は脂が乗り、肉色も浅く、肉質も柔らかめで日本人が好む味にになっています。
輸入自由化した1990年前半、当時は「牛肉がこんなに安く買えるの?」……みたいな感じで、グラスフェッドの安い牛肉がスーパーマーケットなどでバンバン特売されました。
その当時、流行った売り込み文句が「価格破壊!」「牛肉ディスカウント!」でした。
しばらくすると、そのグラスフェッドの牛肉は、それほど美味しくもないことが浸透したのか、「安かろう」「まずかろう」では売れなくなりました。
牛肉のディスカウントで、広くグラスフェッドが浸透してしまったからか、オーストラリア産牛肉というと、色が濃くて少し硬めの牛肉がイメージされていました。
しかしその後オーストラリア産の牛肉は、アメリカ産を意識してなのか、日本向けにアメリカ産と同じく、穀物飼育のショートグレインの牛肉に力をいれるようになったようです。
ですから今では、マーケット市場にたくさん出回っているオーストラリア産の牛肉は、ショートグレインが多いかと思います。
お値段の方は……というと
オーストラリア産のグラスフェッドはとにかく安いです。
オーストラリア産「ショートグレイン」と、アメリカ産牛肉「チョイス」が同じ穀物飼育の牛なので、そのクラスの価格を比較してみますと、どちらも同じくらいの価格帯ですが、オーストラリア産のショートグレインのほうが少し安いです。
味の方はどうか……というと
同じ穀物飼育ですが、どちらかというとアメリカ産のほうが美味しいという意見が多数をしめ人気が高いのが事実です。
吉野家の牛丼はアメリカ産のバラ肉を使用しています。
レストランやステーキハウスでも、
美味しくて人気のあるお店は、ほぼアメリカ産の牛肉をメインに使用していて、
安くて人気のお店はオーストラリア産の牛肉を使用している感じです。
ですから、どちらが美味しいかと言えば、アメリカ産に軍配が上がるといえるでしょう。
輸入牛といえば、1ポンドの重量級の分厚いリブロースステーキが有名です。
1ポンドはグラム単位に直すと、訳450gです。
ですから1ポンドステーキというと、1枚450gもあるビッグなステーキということになります。
日本のスーパーマーケットで販売されているステーキは、主に1枚150g~200gくらいなので、その2倍から3倍はある厚みのステーキです。
ですから、1ポンドステーキというと分厚くて、1枚で2~3人で食べることができるくらいの量ということです。
アメリカの現地に行って食べたことがある方は知っていると思いますが、アメリカの現地で食べるステーキは分厚くて、表面を高熱で焼き上げ、中は肉汁が出るほどジューシーで、これぞステーキだ……というものがでてきます。
日本のステーキは、1枚150gから200gくらいなので、厚さがけっこう薄めで草履のように見えてしまいます。
現地アメリカで食べるステーキを見ると、分厚くて、これぞ肉だ……という感じですが、日本のステーキは、ステーキというより焼肉を食べているかのように感じてしまいます。
やっぱりステーキは分厚いまま焼き上げたほうが美味しいです。
リブロースとは、ロース(サーロインステーキ)と肩ロースの間にある部分です。
脂肪分も程よくあり、美味しい部位です。
和牛のリブロースは霜降りの脂だらけで「こってり」とした美味しさですが、こってりしているがゆえにいくらも食べられません。
アメリカ産のリブロースは脂肪分が程よく、「あっさり」とした美味しさですので、いくらでも食べられるって感じです。
バーベキューの時は、長細く棒状にカットして焼くと、とてもやわらかく食べやすく大人気で、すぐになくなってしまうほどです。
このアメリカ産リブロース1ポンドステーキの価格が、オーストラリア産より安ければ最高なのですが……と思っていたら、いいものがあったんです。
価格がオーストラリア産のほうが安いといわれる中で、アメリカ産牛肉で、オーストラリア産より安いのでは……と思えるようなリーズナブルなステーキがありました。
アメリカ産のリブロースステーキがこれだけ安いと、オーストラリア産を買う人がいなくなってしまうのでは……と思います。